2013年3月31日日曜日

赤ちゃんの涙

先日、久しぶりに
9カ月の赤ちゃんを預かった。

ママと別れるとき、激しく泣いて
そのまま、4時間のうちほとんどを、
赤ちゃんは泣いて過ごした。

夫とふたりで、交互に抱っこし続け、
私は久しぶりに筋肉痛になってしまった。
赤ちゃんは本当に可愛らしく、痛ましく、けなげだった。

こんなとき、どうしても
子どもを保育園に預け始めた頃のことを
思い出さずにはいられない。

入園したのは、子どもが1歳1カ月のときだった。
子どもによって
すんなり保育園になじめる場合もあるようだが、
うちの子はそうではなかった。
毎朝、私と別れるときに激しく泣いた。

あるときは、保育士さんに抱かれながら、
小さい足の親指と人差し指で
私のバッグの持ち手を必死でつかんで
行かせまいとした。

あるときは、土下座するように
床に突っ伏しておいおい泣いていた。

追いすがる子どもを、引きはがすようにして
保育園を出て、駅まで自転車を飛ばした。
電車に飛び乗ると、決まって私は泣いた。

それでも、会社をやめられなかった。
私は仕事に夢中だった。

それに、1年間の育児休暇の間、家にいて
ノイローゼ寸前だったことを思い出すと
どうしても仕事をやめる勇気がなかった。

あのとき私は、子どもを毎日
悲しみのどん底に突き落とし、
自分のやりたいことを優先した。
それにはどんな言い訳も、通用しない。

遅刻してもいいから
一緒に泣いてあげればよかった。
もう少し長く、育児休暇をとればよかった。
後悔してももう、あのときには戻れない。

子どもはすでに、
ときには母親を疎ましく思うほど
大きく成長してしまった。

でも、まだ時間はある。
子どもが私の手から飛び立ってしまうまでに、もう少し。
それまで、できることを精一杯やらなくちゃ。


松戸にある「きれいのたね natural table」でランチをいただきました。
3月のランチは「自分へのやさしさGift」。
ブロッコリーと玄米のスープ、桜の花と菜の花のゼリー寄せ、
雑穀トマトソースと豆乳のグラタン…
無農薬・無添加・オーガニックにこだわった素材だそう。
どれもとってもおいしかったです!
(会員制・予約が必要です)
http://www.kireinotane.jp/cafe.html

2013年3月22日金曜日

レンガの小径

「すみません、○○くんいますか」
コドモのお友達から電話がかかってくる。

「ごめんね、遊びに行っちゃったんだよ」
「……そうですか、わかりました」
電話が切れる。

それがどうしたの?と言われそうだけれど
私、こういうのに弱いのだ。
胸がシュン、となる。

彼はきっと、
「どうして僕を誘ってくれなかったんだろう?」と
思っているだろう。

前は、彼がいちばんの仲良しだったのに
クラスが変わって、しばらくすると
コドモは、別の子といつも一緒に
遊ぶようになってしまったのだ。

度々、電話がかかってくるけれど、
コドモは出かけていたり、
「約束しちゃったから、ゴメン」と言って断る場合が多い。

「一緒に遊べばいいじゃない?」と言うけれど、
「グループが違うから、難しい」のだとか。
彼らには彼らの世界があるのだから、
私がそれ以上口をはさむのは、間違っている。

コドモの友達には
きっとそのうちに
もっと親しい友達ができるだろう。
電話を切った後だって、
サッサと別の友達に電話して
楽しく遊んでいるかもしれない。
そう思いたい。

私が子どもの頃は、
電話なんてあまり使わせてもらえなかった。
友達と遊びたいときは、 直接家に行った。

せっかく訪ねていったのに
留守だったときの寂しさ……。
「もしかして、本当はいるのに
隠れてるんじゃない?」なんて思いながら
ピンポーンという音が、
家の中に鳴り響くのを
いつまでも聞いていた。

松田聖子ちゃんの「レンガの小径」という歌がある。
彼とケンカしてしまって
しばらくして、家に行ってみたら
引っ越してしまった後だった、という歌詞だ。

「呼び鈴を押したけど、もう誰もいない」
大人になって、この歌を聞いたとき
思わず涙が流れてしまった。

きっと、 この寂しさをたくさん知っている人と、
知らないまま、幸せに歳をとる人がいるんだろうな。

お気に入りのカップで
コーヒーを一杯、が
一日の始まりです。

2013年3月18日月曜日

立場というもの

私の父は、昭和9年生まれ。
それほど威張っているほうではありませんが
周りのみんなは、一家の長として
それなりに気を使っています。

ところがコドモは、そんなことはお構いなし。
息子が幼稚園くらいのとき、
私の父に対していろいろと命令しているのを見て
いつも驚かされました。

「おじいちゃん、そこで目つぶって片足で立ってて」

「これ(ずっと握っていてしおれた草)持ってて!」

父が憮然として、いちいち
「嫌だ」と言ってるのも
とってもおかしかった。

ふざけ合っているうちに
手加減なしの息子に思い切り殴られて
髪の毛が乱れていた父の様子は
いまだに、思い出すたび笑えます。

でも人は成長すると、だんだん
相手の立場に応じたふるまいが
できるようになってきます。
面白くないけれど、それが
大人というものでしょう。

かくいう私は、
なかなかそれができなくて、たまに失敗します。

息子が通っていた
保育園の先生との「二者面談」のときです。

先生は短大を卒業したばかりの女の子。
私は30代半ばのおばさんでした。
最初は、真面目に敬語を使って
子どもの様子などを聞いたりしていたのですが
なんだか、ヘンじゃない?という気持ちに…。

結局、途中からは
「先生、彼氏はいるんですか?」
「こういう仕事だとなかなか“出会い”ってないでしょうね~?」
「合コンとか行くの?」
などなど、関係ない話で
盛り上がってしまいました。

他のママは、ちゃんと最後まで
「立場」を守って話しているのでしょうか? 知りたい~。

ところで今、私が違和感を持ってしまうのは
ファストフードなどでの会話です。

店員さんが、中学生くらいの客に対しても
ていねいすぎるほどていねいな
敬語を使っている場面。

マニュアルなんだろうけど。
モヤモヤするわ~。
もっと普通でもいいんじゃない?

人間同士というより、
肩書きが肩書きに対して話してるみたいです。


かつて保育園の連絡帳に
「コドモの前髪を切りすぎて、鳳啓助になっちゃいました~」と書いたら、
先生から「それは誰ですか?」というお返事が。
知らないよね~(涙)。「エロガッパ!」



2013年3月10日日曜日

先生と呼ばれた日々

ほんの短い間だけれど、
私は「先生」と呼ばれたことがある。

大学時代、田舎の高校に
教育実習に行ったときのことだ。

受け持ったのは、高校1年生。
当時の私は外見も、
中身も 大学生にしては幼稚だったと思う。
彼らと、それほど変わらなかった。

「東京から来た大学生」に
女の子たちは、興味津々だった。
「先生、ディズニーランド行ったことある?」
「芸能人に、会ったこともある?」
毎日、休み時間にはまとわりついてきて
私は生まれて初めて、大変な人気者になった。

「先生もいいかなぁ」なんて、ちょっと思ったりした。

クラスに、とっても可愛い女の子がいた。
ちょっぴり、背伸びして 突っ張ってるな…という感じだったけど
媚びていないところが、いいなと思った。
私は彼女が好きだった。

ある日、彼女は「態度が悪い」という理由で
担任の先生につよく叩かれた。
みんなの前で。

私は、ひどくショックだった。
「叩かなくたって、いいじゃん!」と心で叫んだ。
でも、何も言えなかった。

せめて、「私は味方だよ」と伝えたくて
じっと彼女の方を見たけれど
彼女はじっとうつむいていて、
ただ恥ずかしさと、悔しさに耐えていた。

その後、声をかけようと思ったけれど
ふたりきりになれるチャンスはなく、
別れの日が来た。

とうとう最後まで、彼女には何も言えなかった。
ただ、肩に手を置くだけでもよかったのに。

生徒たちにプレゼントされた
大きなぬいぐるみを抱いて
私は学校を後にした。

やっぱり、私は先生にはなれないなぁ。
そう思った。

あのときの彼女に、伝えてあげたかった。
学校って、辛いところだよね。
でも、この先に
まだまだ人生はつながってるんだよ!

彼女はどうしているかな?
きっと、素敵な人生を送っていることでしょう。

2013年3月4日月曜日

ご飯を食べる前に

友達の家に遊びに行っていたコドモが
帰ってきて、こう言いました。

「●●(友達)のお母さんってさあ、
ちょっと、やさしすぎるんじゃない?」

ほお。
どうしてそう思うの?

「だってさ、 お母さんがご飯つくってる途中で
●●が『今日の夕飯、マックがいい!』って言ったら
子どもたちだけ、マックってことになったんだよ!」

ふーん。なるほどね。

でももしかしたら、お母さんもたまたま
おかずがたりないな~って思ってたのかもよ。
それに、 ご飯に関する考え方は、
おうちによって 様々だからね。

でも、覚えていて欲しいのは
手作りであれ、マックのハンバーガーであれ、
出されたご飯に、絶対に文句を言ってはいけないということ。

そして、ご飯を食べる前に
「自分には、これを食べる資格があるかな?」 と
考えてみること。
一生懸命、働いたかな? 勉強したかな? 誰かの役に立ったかな?

自分にふさわしくない
贅沢なご飯を食べたがるような人にだけは、
ならないでね!


作家の東直己さんが、ずっと念願だった
刑務所暮らしを体験し、本にまとめたもの。
「真面目な人が刑務所に入るのって、難しいんだな~」とわかりました。
刑務所で出てくる食事のメニューも、興味深いです。