2014年3月2日日曜日

涙のわけ

子どものとき、
母が泣くのを見たことがありませんでした。
テレビで感動したとき以外には。

そんな母が、泣いたことがあります。
高校生のときのこと。

私と弟、そして母の3人で、夕食をとっていました。
その日のメニューはカレー。

母のカレーはいつも甘すぎて
私たちは、だんだん物足りなくなってきていました。

「テレビのグルメ番組でやっているような
辛~いカレー、一度食べてみたい!」
そんな風に、何度かお願いしたのですが
「辛過ぎるのは身体に悪いから」と
いつも母は言うのでした。

その日も、「また辛くない~」と
つい文句を言った私と弟。

すると突然、母の目から涙がツ~。

ええっ、うそでしょ!
私と弟は、焦って
「あんたが悪いんだよ」「お姉ちゃんのせいだよ」と
押し付け合いました。

なんで、あのくらいのことで泣いたんだろう?
いつもは、「体に悪いから!」って怒るだけなのに…。

母と同じくらいの年になった今、
しみじみ思います。

女の40代後半って、
いろいろとつらい時期。
だいぶ、たまっていたんだろうな。

長年住み慣れた街から
引っ越して1年くらいのときでした。

私たちはすぐ友達ができたけれど
専業主婦の母には、
知り合いもいなくて寂しかったはずです。

あの頃は自分のことばかり考えていて
母が毎日どんなことを考えて
どんなふうに過ごしているのかなんて
思ってもみませんでした。

あのときの母のそばに立って
こんな風に言ってあげたいです。

「お母さん、思いっ切り辛いカレー、
一緒につくって食べようよ!
ヒーヒー言いながら食べたら
すっきりするかもよ!」

こんな表札を見つけました…!

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