2015年3月12日木曜日

心のブレーキ

「今ごろ?」と言われそうですが
映画館に『紙の月』を観に行きました。

評判通り、宮沢りえさんの演技は素晴らしく
見ごたえがありました。

途中から、だんだん恐ろしくなって
ほとんど私は固まりながら観ました。
ストーリーが、というよりも 人間として、
「あなたは大丈夫?」という質問を
突きつけられているようで…。

目の前にお金があって誰も見ていない。
盗っても、誰も気づかない。
そのときに、手を出さずにいられるかどうか。

ちろんりえさん演じる主人公のような
莫大な金額を横領するなんて、
普通はありえないでしょう。
第一、バレるのが怖いからやめておこう、と思うでしょう。

でももし、映画に出てきたような
数字もろくに読めないような、認知症のお客様がいて
絶対バレない、という状況だったら?
そして、自分が本当にお金に困っていたり、
心の中に、どうにも埋められない穴や、怒りを抱えているときだったら?

果たして、自制心を保つことができるでしょうか。

そんなときに頼りになるものは、
例えば厚い信仰なのかもしれません。
誰も見ていなくても、神様が見ていらっしゃる。
でも私のように信仰のない人間は
何を頼りに乗り越えればいいのでしょう?

「そんなときにはこれ!」という
自分のブレーキになる何かを、
意識して、心の中に持っていたほうがいいと思いました。

映画の中で、ただひとり頼りになるのは
小林聡美さん演じる、お局先輩OLでした。
固すぎて、上司には煙たがられているけれど
真っ当に生きていました。

人から見るとつまらない人生かもしれないけれど
「彼女の側の世界にいたい」と、つよく思いました。

そういう意味でも、当分この映画は
私の「心のブレーキ」になりそうな気がしています。

ゆで卵を切ってみたら、なんと双子!
初めて見ました。