2015年12月1日火曜日

水木しげるさん、大島花子さん、そして死について

今日は真面目な話をしたいと思います。

水木しげるさんの訃報は、ショックでした。
この調布にはもういらっしゃらないのだと
思っただけで、
涙がにじんでくるほどさびしいです。

娘さんに支えられながら、
ゆっくりゆっくり 歩いていらした姿を、
思い出します。

戦争の暗さを、ちゃんと描いた方でした。

「桜のように美しく散る」なんてことは 幻想で、
真実は地獄なんだよ
手足が腐っていくけどなかなか死に切れない
そんなことのほうが多かったんだよと
伝えてくれました。

私は戦争を知らないので
想像するしかありません。
想像してみて、こう思います。

戦争反対という話では
「死ぬことの恐怖」ばかり語られるけれど
本当に恐ろしいのは
「人を殺さなければならない」
ということではないか。

戦争で人を殺した経験について
語る人はあまりいません。 それは当然のことです。

だから、私たちはそのことについて
考えなさすぎる。

人を殺したら、
人間でいられなくなると思います。
たましいが傷ついてしまいます。

戦争だけではなく
死刑を執行する人たちも同じです。

ボタンを押す人、死刑囚の体を押さえつける人、
今までその仕事に関わった人たちのいったい何割が
心を病んでいるでしょうか。

そんなデータは、発表されたことがありません。
でも私たちは確実に、
その役割を誰かに押しつけているのです。

水木さんの訃報を聞いた夜、
NPO法人監獄人権センターの
20周年記念パーティのお手伝いに行ってきました。

ゲストに、歌手の大島花子さんがいらしていて
お父様(坂本九さん)の思い出を
少し語ってくださいました。

亡くなる前の日に
一緒に庭の草むしりをしたこと。
とっても暑い日で、
お母さんがかき氷をつくってくれて
みんなで食べたことを
今でもはっきり覚えていらっしゃるそうです。

なんでもない日々の幸せが
本当は奇跡のようなことなのだと
私たちは気づかないまま、毎日を過ごしています。

花子さんの歌声は、透き通るように美しく
アカペラで歌われた「見上げてごらん夜の星を」は
胸に染みわたりました。

今日は水木さんの死と、花子さんの歌をきっかけに
戦争のこと、 人の命のことを考えました。
誰もが、誰かを殺したりしなくていい世界になりますようにと祈りました。


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